建て替え前の古い日本家屋のイメージを守り、オーソドックスな切妻屋根をベースにした外観。
歴史を受け継いでいく思いを外観にも込めました。
構造階数 | 木造2階建て |
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延床面積 | 148.54㎡ |
建築費用 | 3650万円 |
建築コンセプト | 約70年住んできた愛着のある建て替え前の家の部材を再利用し、明るく風通しよい吹抜け+収納の仕方にこだわった家です。 |
1階の部屋を明るく風通しのよい家をとのご要望。
建物の南側には3階建ての建物が隣接し日差しが遮られる為、腰屋根に開口部を設置しなおかつスカイライトチューブを吹き抜け上部に設置して光を取り込み、吹き抜けを通じて室内に明るさをもたらし風通しのよい計画をご提案しました。
また、1階から棟木まで通った大黒柱は天竜杉の樹齢80年以上で8mの丸太を使用しました。家族の繁栄を願い吹き抜けに配置しました。
1階の採光には、施主自らインターネットで探された太陽光照明システム「スカイライトチューブ」を設置。
日差しの届きにくい場所も明るく照らすことが可能となりました。
趣味の道具やアウトドア用品などを収納したいとのご要望から、玄関とつながった広めの土間収納を設けました。
土間収納は湿気の調整役と将来の壁増設を見越して、壁には杉の板材を使用しています。
仕切りとなる下駄箱には、一部隠し引出しを設け、印鑑や鍵などを保管できるよう、家具なども綿密に打合わせして決めました。
玄関側には明るく華やかな趣を持たせる為、岩手の赤松の無垢材を使い、天板には正面のベンチと併せて拭き漆を施しました。
70年近い年月を経て住んできた家の歴史を受け継いでいきたいとの思いから、愛着のある以前の住まいの思いを取り込んで、ダイニング側のキッチンカウンター下部の食器棚は、建て替え前の家で使用していた茶箪笥を再利用。和室の欄間・神棚板も建て替え前の解体時に丁寧に取り外し再利用しました。
建具はもともと古い舞良戸を探してつけたいとのことでしたが、寸法的に合うものがなく、また舞良戸だとすこし空間が重苦しくなってしまう為、お施主様といろいろ考え、遠山記念館のおさ格子戸を参考に新規で制作しました。
玄関側から見ると格子戸の格式を持ちあわせつつ、和室側から見ると障子に見える、空間にマッチする建具となりました。
舞良戸とういうのは書院造りに用いられる建具で、舞良子という細い桟を狭い間隔で縦や横に取り付けた板戸のことをいいます。
野地板は杉材の30ミリの厚さのものを使っています。
材をあらわして勾配天井にし、ロフトを設けています。
無垢板を天井に用いることで、湿度を調整する役目があります。木自体が吸放湿して呼吸しています。
木の1本1本で表情が違いますから、天井板や床板を1部屋ごとになるべく同じ木の材を使うよう心掛けています。
部屋は家具による間仕切りの為、移動すれば2部屋をつなげることができます。
将来の生活の変化にも対応できるように配慮しました。