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地の家運動

地の家運動

「地の家」とは

 山林資源に恵まれた我が国は各地で独特の家づくり文化が発達しています。工匠たちは地場で産出する材を用い気候風土に適した工法やデザインを工夫することで、都市に独特の家並風景を与え、また、林業、陶、紙、鉄、漆、織など家づくりを支える地場産業の発展を促して地域の繁栄に大きな役割を果たしてきました。古くから日本の国で行われてきた、この地域の、地域による、地域のための家づくり文化を私たちは「地の家」と呼び、この家づくり文化の復権を目指しております。

地の家運動

 地の家の復権は現在の家づくりが抱える矛盾の多くを解決するばかりでなく、地方の自立や活性化を促す大きな力になると考えています。私たちは地の家の復権を目指した活動を「地の家運動」と称し、各地の工匠が連帯してその推進に取り組んでいます。

増え続ける住宅トラブル

 住宅トラブルは年々増え続け、トラブルを巡る裁判も倍増しています。欠陥工事をはじめ悪徳営業、契約不履行、業法違反などトラブルの多様化により解決は困難を極めています。
 住宅トラブルの原因が施主側にあるケースは極めて稀で、大半は業者の不正、不作為が原因といわれ、NPO法人家づくり援護会の相談事例では90%を超える住宅トラブルはハウスメーカー、不動産業者、建売業者など住宅販売企業に集中していると報告されています。 
なぜ、住宅を販売する企業群に住宅トラブルが多いのか。姉歯事件や横浜のマンション事件は建築費のコストダウンや工事を急がせる企業体質が偽装工事を誘発したと指摘されています。家づくり援護会が関わる住宅トラブルにおいても利益や効率を至上とする企業エゴが現場での不正や不作為を誘発していると報告されています。
 日本の家づくりは施工請負契約という独特の契約方法で行われています。中世の日本で生まれたこの契約システムは「建物の完成」を施工者が請負、施主は「代金の前払い」を保証する、施工者は絶対に施主を「裏切らない」ことを前提にしなければ成立しない契約システムです。このような契約システムが日本の社会で発達した背景には施主への献身を美徳とする匠文化の土壌があり、工匠と呼ばれる人たちへのゆるぎない国民の信頼があったからだと思われます。
 「契約」を逆手に取り不正、不作為を働く企業による企業のために家づくりが多くの矛盾を露呈している今こそ、この紛れのない家づくりを再評価すべきではないでしょうか。


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